二番目のない楽器――泉州尺八工房がAireedXにたどり着くまで 私はこれまで、40年以上にわたって竹製の尺八を作ってきました。 泉州尺八工房を始めた頃から、私が目指してきたのは、単に「昔ながらの尺八を作る」ということではありませんでした。 自分自身が演奏家として舞台に立ち、その中で「こういう音が欲しい」「こういう表現がしたい」と感じたことを、楽器そのものに反映させていく。 演奏して、作って、また演奏する。 その繰り返しの中から、自分にとって理想の尺八を少しずつ形にしてきました。 その意味で、泉州尺八工房の尺八は、私にとって「伝統を守るための尺八」であると同時に、「演奏するために進化してきた尺八」でもあります。 竹だからこそ生まれるもの、竹だからこそ抱える問題 竹は素晴らしい素材です。 一本一本に個性があり、長い年月をかけて育った竹には、人工的な素材にはない魅力があります。 一方で、竹だからこそ避けられない問題もあります。 その一つが「割れ」です。 良い竹を見つけても、保存している間に割れることがあります。 製作途中で割れることもあります。 これらは、製作者である私の手元で起きることなので、ある程度は対応できます。 しかし、もっと難しいのは、お客様の手に渡った後に割れてしまうことです。 「竹なのだから、ある程度の割れは避けられない」と理解してくださる方ばかりではありません。 お客様からすれば、購入した楽器が割れれば大きな問題です。 「自然素材だから仕方がない」と説明するだけでは、作り手として納得できない部分もありました。 そこで私は、長い間、…